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「あれ、パソコンの電源が入らない…」「いつもと様子が違う…」突然のトラブル、焦ってしまいますよね。でも、ご安心ください。パソコンが起動しない原因は本当にたくさんあって、専門的な修理が必要な場合もありますが、その前にご自身で解決できるケースも少なくありません。
この記事では、パソコンが起動しないときの症状別に原因を特定し、あなた自身でできる対処法をわかりやすく解説していきます。電源周りの基本的なチェックから、少し踏み込んだトラブルシューティングまで、段階的にご紹介しますので、慌てずに一つずつ試してみてくださいね。
まずは症状を確認!パソコンが起動しない時の3つの典型パターン
一言で「パソコンが起動しない」と言っても、その症状は様々です。 まずは現在の状況を大きく3つのパターンに分けることができます。まずは現在の状況がどのパターンに当てはまるかを確認してみましょう。
電源が全く入らない状態
電源ボタンを押しても、パソコンから一切反応がない状態です。ファンの音も聞こえず、LEDランプも点灯しません。電気がうまくパソコンに届いていない可能性が高い症状といえるでしょう。
この症状では、以下のような原因が考えられます。
- 電源ケーブルの接続不良。
- バッテリーの完全放電(ノートPCの場合)。
- 電源ユニットの故障。
- マザーボードのトラブル。
電源は入るがロゴ画面で止まる
パソコンの電源は入り、メーカーロゴは表示されるものの、そこから先に進まない状態です。BIOS(バイオス)という、パソコンの基本的な設定プログラムは起動しているため、部品のすべてが壊れているわけではなさそうです。
このケースで考えられる原因には、次のようなものがあります。
- ハードディスクやSSDの読み込みエラー。
- メモリの接触不良。
- BIOS設定の問題。
- システムファイルの破損。
エラーメッセージが表示される
起動途中で何らかのエラーメッセージが画面に表示される状態です。エラーの内容によって、原因をある程度特定することができるため、エラーメッセージは、いわばパソコンからのSOSサイン。原因を探る大きなヒントになるので、スマホで写真を撮るなどして、内容を記録しておきましょう。
よく見られるエラーメッセージには以下があります。
- Operating System Not Found。
- Boot Device Not Found。
- NTLDR is missing。
- BOOTMGR is missing。
【まず試して】パソコンが起動しない時に最初に確認すべき基本ポイント
症状を把握したら、次は基本的な確認作業から始めてみましょう。意外と単純な原因で起動しないケースが多いため、まずはこれらのポイントをチェックしてください。
電源ケーブルと接続の確認
「え、そんなことで?」と思うかもしれませんが、意外と多いのが電源ケーブルの抜けや緩みなんです。ケーブルがしっかりと差し込まれているかを必ず確認してください。
確認手順は以下の通りです。
- 電源ケーブルをパソコン本体から一度抜く。
- コンセントからも電源ケーブルを抜く。
- ケーブルに損傷がないかを目視で確認。
- コンセントに電源ケーブルをしっかりと差し込む。
- パソコン本体にもケーブルをしっかりと接続。
- 電源ボタンを押して動作確認。
デスクトップパソコンの場合は、モニターの電源ケーブルも同様に確認してくださいね。意外な落とし穴ですが、モニターの電源が入っていないだけで、パソコンが起動していないと勘違いしてしまうことがあります。
バッテリーの状態確認(ノートPC)
ノートパソコンの場合、バッテリーが完全に放電してしまうと、電源ケーブルを接続してもすぐには起動しないことがあります。充電ランプが点灯するかを確認し、30分程度充電してから再度電源ボタンを押してみてください。
古いノートパソコンの場合は、バッテリーを取り外して電源ケーブルのみで起動を試すのも有効な方法です。バッテリーが故障していることで起動を妨げている可能性があるからです。
※近年はバッテリーが取り外せない「内蔵型」のノートパソコンも増えています。その場合は無理に分解しないでください。
放電作業の実施
パソコンは精密機器なので、体で静電気がパチッとなるように、内部に不要な電気が溜まってしまうことがあります。これが原因で、うまく起動できなくなることがあるんです。
放電作業の手順をご紹介します。
- パソコンの電源を完全に切る。
- 電源ケーブルを抜く(ノートPCはバッテリーも取り外す)。
- 電源ボタンを15秒間長押しする。
- 5分程度そのまま放置する。
- 電源ケーブルを接続し直す。
- 電源ボタンを押して起動を確認。
【作業前に必ず確認】起動しないパソコンから大事なデータを守る方法
パソコンが起動しない状況では、データの安全性を確保することも重要な課題です。自力での修復が困難な場合に備えて、データ保護と復旧の方法を知っておきましょう。
データ救出の方法
起動しないパソコンからデータを救出する方法はいくつかあります。データの重要性にあわせて、ベストな方法を選びましょう。
個人でできるデータ救出方法には以下があります。
- 外付けHDDケースを使った直接アクセス。
- ライブUSBでのLinux起動。
- 他のパソコンへの一時的な接続。
- クラウドバックアップからの復元。
ハードディスクやSSDを取り出して、外付けケースに入れることで、他のパソコンからアクセスできる場合があります。ただし、ストレージ自体が故障している場合は、この方法では復旧できません。
専門業者への相談タイミング
無理な自力修理は、かえって状態を悪化させることもあります。特に以下のようなサインが見られたら、データの安全を最優先し、専門業者へ相談することを強くおすすめします。
- 異音や異臭がする場合。
- 重要なデータが保存されている場合。
- ハードウェアの知識に不安がある場合。
- 作業時間が確保できない場合。
データ復旧を専門とする業者では、高度な技術と設備を使って、個人では不可能な復旧作業を行うことができます。費用はかかりますが、大切なデータを守るためには必要な投資といえるでしょう。
今後の予防策
トラブルが解決したら、同じ問題を繰り返さないための予防策を講じることが大切です。定期的なメンテナンスと適切な使用環境の維持が、パソコンの安定した動作を支えます。
効果的な予防策をご紹介します。
- 定期的なディスククリーンアップの実行。
- システムアップデートの適用。
- ウイルス対策ソフトでの定期スキャン。
- 適切な室温での使用。
- 定期的なデータバックアップ。
特にデータバックアップは最も重要です。Windows標準の機能を使ったり、無料のクラウドストレージ(Googleドライブなど)を活用したりして、月に一度は大切な写真や書類のコピーを別の場所に保管する習慣をつけましょう。
電源が入らない場合の対処法
基本的な確認で問題が解決しない場合、電源が全く入らない状況ではハードウェアレベルでの問題が疑われます。怪しい場所を一つずつ順番にチェックして、原因を絞り込んでいくことが大切です。
デスクトップパソコンの場合は、以下の手順で確認してください。
- 電源ユニットの動作確認(ファンが回るかチェック)。
- マザーボード上のLEDランプの点灯確認。
- メモリの抜き差し(接点の清掃も含む)。
- 最小構成での起動テスト。
ノートパソコンの場合は、ACアダプターの故障も考えられます。可能であれば他の同型のACアダプターで動作確認を行ってみてください。LEDランプの点灯パターンも重要な手がかりになります。
ロゴ画面で停止する場合の対処法
メーカーロゴは表示されるが、その先に進まない場合は、起動ドライブやメモリの問題が考えられます。まずはBIOS設定の確認から始めてみましょう。
BIOS画面に入る方法は機種によって異なりますが、一般的には電源投入直後にF2キーやDeleteキーを連打することで入ることができます。BIOS画面で以下の項目を確認してください。
- 起動ドライブの認識状況。
- メモリの容量表示。
- 温度やファンの回転数。
- 起動順序の設定。
ハードディスクやSSDが認識されていない場合は、ケーブルの接続を確認するか、別のSATAポートに接続し直してみてください。メモリが正しく認識されていない場合は、メモリの抜き差しや別のスロットへの移動を試してみましょう。
エラーメッセージが出る場合の対処法
エラーメッセージが表示される場合は、メッセージの内容に応じた対処が必要です。エラーメッセージを正確に把握することで、適切な解決策を選択できます。
Windowsの起動に関するエラーの場合は、以下の方法を試してください。
- セーフモードでの起動。
- スタートアップ修復の実行。
- システムの復元。
- コマンドプロンプトからの修復コマンド実行。
セーフモードで起動できる場合は、最近インストールしたプログラムやドライバーが原因の可能性があります。システムの復元を使って、問題が発生する前の状態に戻してみてください。
【部品故障?】パソコンが起動しない原因となるハードウェアの特定方法
ソフトウェア的な対処で解決しない場合は、ハードウェアの故障が疑われます。自分でできる範囲での確認方法と、注意点についてご説明します。
メモリの問題と対処法
メモリの接触不良や故障は、起動しない原因としてよく見られるトラブルです。デスクトップパソコンの場合は、比較的簡単に確認と対処ができます。
メモリの確認手順は以下の通りです。
- パソコンの電源を切り、電源ケーブルを抜く。
- ケースを開けてメモリスロットにアクセス。
- メモリを一度取り外す。
- 接点部分を乾いた布で清拭。
- メモリをしっかりと差し込み直す。
- 複数枚ある場合は1枚ずつテスト。
ノートパソコンの場合は、機種によってメモリスロットへのアクセス方法が異なります。底面のパネルを外す必要がある場合が多いため、取扱説明書を確認してから作業を行ってください。
ストレージの問題と対処法
ハードディスクやSSDの故障も、起動しない主要な原因の一つです。データの安全性を最優先に考えることが重要です。
ストレージの問題を確認する方法には以下があります。
- BIOS画面でのドライブ認識確認。
- 異音の有無をチェック。
- SATAケーブルの接続確認。
- 別のパソコンでの動作テスト。
ハードディスクから異音が聞こえる場合は、すぐに電源を切ってください。無理に起動を続けると、データ破損のリスクが高まります。この場合は専門業者に相談することをおすすめします。
マザーボードと電源ユニットの問題
マザーボード(パソコンの基盤)や電源ユニットの故障は、残念ながらご自身での修理は難しい部分です。だからこそ、故障のサインを見逃さないことが重要になります。 兆候を把握しておくことで、適切な対応を取ることができます。
電源ユニットの故障が疑われる場合は、以下の症状に注意してください。
- 電源ファンが全く回らない。
- 焦げ臭いにおいがする。
- 異音が発生する。
- 電圧が不安定。
マザーボードの問題では、コンデンサの膨らみや変色、焦げた跡などが見られることがあります。これらの症状が確認された場合は、安全のためすぐに使用を中止してください。
【Windowsの問題?】OSやソフトが原因でパソコンが起動しない時の対処法
ハードウェアに問題がない場合は、オペレーティングシステムやソフトウェアの問題が考えられます。Windows環境での具体的なトラブルシューティング方法をご紹介します。
Windowsのスタートアップ修復
Windowsが正常に起動しない場合、自動修復機能を使って問題を解決できることがあります。システムファイルの破損を自動で修復してくれる便利な機能です。
スタートアップ修復を実行する手順は以下の通りです。
- パソコンの電源を入れる。
- Windowsロゴが表示されたら強制終了。
- この操作を3回繰り返す。
- 自動修復画面が表示される。
- 詳細オプションを選択。
- スタートアップ修復を実行。
修復が完了したら、通常通り再起動してみてください。この方法で解決しない場合は、別の修復オプションを試す必要があります。
セーフモードでの起動と対処
セーフモードは、必要最小限のドライバーとサービスだけでWindowsを起動するモードです。通常モードで起動しない場合でも、セーフモードなら起動できることがあります。
セーフモードでの対処方法をご説明します。
- 起動時にF8キーを連打してセーフモード選択。
- セーフモードで正常起動できるか確認。
- 最近インストールしたプログラムをアンインストール。
- デバイスマネージャーで問題のあるドライバーを確認。
- システムの復元で以前の状態に戻す。
セーフモードで起動できる場合は、ソフトウェアやドライバーの問題である可能性が高いです。問題の原因を特定して、適切な対処を行ってください。
システムファイルの修復
Windowsのシステムファイルが破損している場合は、コマンドプロンプトから修復コマンドを実行することで解決できる場合があります。
主要な修復コマンドには以下があります。
- sfc /scannow - システムファイルの整合性チェック。
- DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth - イメージの修復。
- chkdsk C: /f /r - ディスクエラーの修復。
- bootrec /fixmbr - ブートレコードの修復。
これらのコマンドは、Windowsが通常起動しない場合に使う「回復環境」という特殊なモードで実行します。作業前には重要なデータのバックアップを確保しておくことが大切です。
まとめ
パソコンが起動しないトラブル、ここまで一つ一つ確認作業、本当にお疲れ様でした。パソコンが起動しないトラブルは、誰にでも起こりうる問題ですが、正しい手順で対処すれば多くのケースで解決することができます。まずは電源ケーブルの確認や放電作業などの基本的なチェックから始めて、症状に応じて段階的にトラブルシューティングを進めることが重要です。
ハードウェアとソフトウェア、それぞれの問題に対する対処法を理解しておくことで、冷静に問題を解決できるようになります。ただし、無理な作業は状況を悪化させる可能性もあるため、自分の技術レベルを把握して、必要に応じて専門業者に相談することも大切な判断といえるでしょう。日頃からの予防策とデータバックアップを心がけて、安心してパソコンを使用してくださいね。